小説を読もう、話題のブックカバーチャレンジを考える

いきいき

最近ネット上ではブックカバーチャレンジと呼ばれる本を紹介する取り組みが話題を呼びました。この取り組みの流れは以下のようになります。

ブックカバーチャレンジとは

概要

Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)、Instaglam(インスタグラム)などのSNS上で行われている本を紹介する取り組み。次の参加者を指名することで数珠つなぎに本を紹介していく人が増えていく。

ルール

  1. 好きな本を1冊選ぶ。
  2. 本の説明はしないで、本の表紙画像のみをSNS上にアップする。
  3. 1日1冊の画像アップを7日間続ける。
  4. 紹介する際には別の友人を招待し、この取り組みへの参加を促す。

 ※期間については7日間のものが多いが、指定しない場合もある

以上が簡単なブックカバーチャレンジの説明です。

コロナウィルスへの対策として外出自粛が求められる中で、2020年の3月頃から広まっていった取り組みのようです。

退屈な室内での暮らしを豊かにしようと本を紹介していくこの行動を、初めて知った時はとても素敵な取り組みだなと思いました。

しかし、一方で批判の声が上がっているのも事実です。その理由は

  • 半ば強引な参加呼びかけ。
  • 7日間連続で本を紹介する手間。
  • 読んでいる本の趣味嗜好を知られたくない。

などというものでした。SNSという拡散性の高いサービス内で、何かを紹介することは確かに勇気がいるものでリスクがあります。しかしながら、参加方法などのルールにばかり目がいってしまい、本質である本の紹介の部分が霞んでしまっているのは個人的に残念に思えました。

この取り組みへの参加は自由だと思いますし、いずれ風化してしまう取り組みだと思います。しかし、ネット・現実問わず人に本をすすめるという文化は根付くと嬉しいなと思いました。

この取り組みに参加しない理由の中に、

  • そもそも本を読まない。
  • どの本を読んでいいかわからない。

という意見もあり、SNSでの活動に対する否定的な意見ではなく、活字自体を敬遠して本をすすめられない方もいることも知りました。

私もいつも活字を読むというほどではありませんし、ビジネス書などは専門用語も多いため手を出しづらい印象を持っています。

しかし、その面白さを知っているジャンルの本があります。それは小説です。実生活で必ずしも役に立つとは言えない小説ですが、昔から人気の高いジャンルの活字です。

今回はそんな小説の魅力をお伝えするとともに、おすすめの小説を紹介していきます。息抜きの雑記として読んでいただける嬉しいです。

小説の魅力とは

小説というジャンルが成立するまで

日本には古来から数多くの書物がありました。最古の歴史書である『古事記』、最初の正史である『日本書紀』、最古の歌集『万葉集』などが有名ですが、隅々まで読んだ経験があるという方はなかなかいないのではないでしょうか。

これらの書物の多くは後世への記録としての役割を担っており、誰しもが気軽に読める現代の小説のような読み物とは少し特性が違うものでした。

小説を辞書で調べると

《坪内逍遥がNovelに当てた訳語》文学の一形式。特に近代文学の一ジャンルで、詩や戯曲に対していう。作者の構想をもとに、作中の人物・事件などを通して、現代の、または理想の人間や社会の姿などを、興味ある虚構の物語として散文体で表現した作品。

2013年 オンライン大辞泉 小学館

とありました。

とりわけ現代日本における小説が花開いたのは、明治時代に入ってからのようです。長らく続けていた鎖国をやめ、文明開化という方針の下で、個人主義の思想や西欧文学を取り入れたことにより、口語文体や写実主義などが文学の世界に広がっていきました。

文学史の本の中で、近代文学に関する以下の解説がありました。

シェイクスピア研究で名高い坪内逍遥は、明治18年、『小説神髄』で写実主義を主張、その実践として、小説『統制書生気質』を書きます。二葉亭四迷は、ロシア文学研究から得た小説理論の下、言文一致の小説『浮雲』で、真に日本の近代文学を出発させます。

川島周子(2016年)おとなの楽習10 文学史のおさらい 株式会社自由国民社 

ここでも坪内逍遥に言及されていることから、日本における今の小説の出発点はこのあたりではないかと思われます。この後、擬古典主義や浪漫主義などさまざま文学の流れが起こり、今の小説に通じるような多くのジャンルが生まれました。

改めて文学史をみていくと、高校の国語でも少し習ったななどと少し懐かしい気持ちになりました。小説を読む前にその成り立ちに興味を持たれた方は、文学史を調べてみるのもいいかもしれません。

小説の楽しみ方

小説についての記事ですが、その成り立ちの部分が長くなってしまいました。自分でまとめながらも少し飽きを感じ、反省しています。

言葉の羅列、事実の羅列というのはどうしても単調で退屈なものになります。小説のようにその人の心情や実際の情景が虚構であったとしても混ざり合っているほうが面白く感じます。

ここからは本題である小説の楽しみ方についてみていきます。ある本に小説を楽しく読むコツが書いてあったので、その文章を引用したいと思います。

楽しく小説を読むコツ、それはつまらない小説を読まないことである。

つまり、「なんだかこの作品、退屈だな」とか「この作者、気に入らない」と思ったら、さっさと読むのをやめてしまうことだ。無理して最後まで読むうちに面白くなる、そういうことだってなくはないが、不幸にして最後までつまらないと、無駄なことをした気がしてしまう。そんな本は、数年後には読んだことすら忘れてしまうのがオチだ。それより、途中で放り投げて、新しい本を読み始めよう。性格の不一致なら、無理をして付き合い続けてもダメなのと同じ。

許光俊(2005年)世界最高の日本文学 こんなにすごい小説があった 株式会社光文社 

以上です。

とてもわかりやすいコツだと思いませんか。読書体験は映画などと違い、他者と一緒に体験することが難しく、個人での体験という部分が強いものです。

だからこそ、自分本位になって本を選び読み進める。これが小説を楽しく読むうえでのコツだと思います。

万人ウケする本としておすすめされ、つまらなかった経験はないでしょうか。

はっきり言って万人ウケする本というものは存在しないと思います。本にも合う合わないが必ずあります。正確には多くの人から支持された本というのが近いのではないでしょうか。

とりわけ小説においては自分が好きなものを自由気ままに読み、様々な本に出会うことが大切です。

小説のジャンル

小説とひとくくりに言っても現在では様々なジャンル分けがされています。

大枠では純文学と大衆文学の二つがあるそうで、短編や長編など長さによっても分区別されているようですが、小説を書くのではなく、読むうえではあまり重要ではないため、省きたいと思います。

むしろ小説を読むうえでのこのようなジャンル分けは、小説を読もうとしている人を立ち止まらせる要因のような気がします。

ここではあえて簡単に代表的なジャンルとその概要、有名な作家を挙げていきます。

現代小説

現代小説は現代社会を舞台とした作品です。ありふれた日常や登場人物の恋愛模様を描いた作品、社会経済を題材に取り上げた作品などもこのジャンルに属します。現代の生活様式の中で物語が進むため、読みやすく感情移入しやすいという特徴があります。

年代で区分されているため、いずれは今現在現代小説と呼ばれている作品も、古典などとして呼ばれる時代が訪れるはずです。その投稿スタイルから一時期話題を読んだケータイ小説というものもこのジャンルに属すと思います。今後はスマホ小説も出てくるのでしょうか。

作品の特徴ではなく現代を舞台にした作品ということで膨大な数の作品が現代小説にあたります。ここではあえて特定の名前は出しません。書店に行っておすすめの現代小説を聞いたら、思いがけない出会いがあるかもしれません。

推理小説・ミステリー小説・サスペンス小説

これらの小説は物語に描かれているトリックや事柄の奇怪さに焦点を当てた作品で、読者が読み進めていくとその謎が解き明かされていく形式の小説です。

時代や国の背景よりも文中の事柄に焦点を当てている作品が多いことから、世代や言葉の壁を超え人気の高いジャンルです。あっと驚くような仕掛けが作中に散りばめられており、爽快な読後感を得ることができます。

日本においては江戸川乱歩、横溝正史などの作家が活躍し、現代では宮部みゆきや東野圭吾がその担い手として活躍しています。海外ではコナン・ドイル、アガサクリスティなどの作品が金字塔として愛され続けています。

歴史・時代小説

実際の史実と虚構とを織り交ぜた作品が歴史・時代小説です。

その時代に起きていたことに居合わせたような描写や魅力的な登場人物の活躍などで、実際には体験したことのない時代を疑似体験できます。緻密な時代考証がされており、歴史を知るうえでもとても勉強になる作品が多くあります。

特に様々な武将が活躍した戦国時代は、多くのヒット作の舞台となり人気が高いです。私も小学生の頃に読んだ『梟の城』で忍者に憧れを抱いた経験があります。

池波正太郎や司馬遼太郎などが代表的な作家として挙げられます。

ファンタジー・SF小説

ファンタジー・SF小説は小説の醍醐味である虚構の部分をより強調した作風の小説です。ファンタジーは幻想、SFはサイエンスフィクション(空想科学)の意味をもち、現実には存在しない生物や、まだ登場していない近未来の技術などが物語に登場します。

映画との親和性が高く、ファンタジー小説のベストセラーであるロード・オブ・ザ・リングは映画でも世界的な人気を博しました。SF作品ではブレードランナーや時をかける少女などが有名です。

日本におけるSF小説としては筒井康隆・小松左京・星新一などが有名ですが、海外においても人気の高いジャンルです。私はジョージ・オーウェルの『1984年』が面白かったです。1949年に刊行された作品ですが、私は最近読みその世界観に圧倒されました。

小説のジャンルを挙げていくときりがなく、このジャンル分けも大まかなものでしかありません。その作品を読んでどんな体験をしたいかということを念頭に置き、ジャンルを参考にしてみてください。

おすすめの小説

かく言う私も20代前半まではあまり本を読む習慣がありませんでした。しかし、本好きの友人がいたおかげで、本を読む習慣が少しだけつきました。

とてもアナログな方法ですが、その友人と遊ぶときは新宿の紀伊国屋書店で待ち合わせをして、5冊おすすめの本を会うたびに選んでもらっていました。

私の経験上人にすすめられた本というのは、自分ではあまり選ばない本が多く、とても刺激になりました。なるべくジャンルの違う本を独断と偏見で選んでみましたので、興味をお持ちなられた方は読んでみてください。

輝ける闇

このブログタイトルにもさせていただいた「漂えど沈まず」でも有名な開高健の書いた作品です。この作品はベトナム戦争に開高健が朝日新聞の臨時特派員として現地に赴いた経験を元にした作品で、戦争下でのベトナムを舞台に物語が進みます。実体験を踏まえて書かれている点からルポタージュとしての側面も持った作品です。

私が読書の面白さを知った作品です。美味しそうな食事風景、緊張感で張り詰めた戦場の描写、どのページを切り取っても活字ながら現地の匂いが伝わってくる強烈な読書体験をしたことを今でも鮮明に覚えています。

緊迫したベトナム戦争という状況下の中で笑いのこぼれる情景が描かれていると、どこか遠い昔の出来事のようには思えない気持ちになりました。

歯切れのいい文体とかっこいい言い回しの数々は今読んでも色褪せません。特に男性の方に読んでいただきたい小説です。

日の名残り

イギリス在住の日系作家カズオ・イシグロが書いた本です。2017年にノーベル文学賞を受賞し、日本でも大きな話題を呼んだ日系イギリス人作家の作品です。

この作品は1989年に刊行され、イギリスの権威ある文学賞であるブッカー賞をとった作品でもあります。

物語は1956年のイギリスで主人公は執事であるスティーブンスという男性です。物語はこの主人公の一人称視点で語られ、回想の中で古き良きイギリスの貴族文化やそこに仕える人々の姿が鮮明に描かれます。

正直イギリスにおける貴族の文化や執事の仕事などは私の知る由もない世界でしたが、描写が丁寧でわかりやすく一気に読むことができました。誰が死ぬわけでも、大きな事件が起こるわけでもありませんが、仕事に対する考え方やユーモアの大切さを感じられる作品です。

アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされています。私は観ていませんが、賛否両論のようなので、私は小説だけで満足したいと思います。

さようならオレンジ

オーストラリア在住の女性作家岩城けいが著者です。2013年に太宰治賞を受賞した作品で比較的新しい作品です。舞台はオーストラリアの田舎で暮らす女性。物語はいくつかの女性の視点で描かれ、それぞれが育児や慣れない外国生活などに悩みを抱えています。

これらの悩みに寄り添い言葉をかけてくれる登場人物とのやりとりにとても温かみを感じました。どの地域でも、どんな環境でも人を動かすのは人なのだと改めて考えさせてくれ作品です。読み終えたときの心地のいい清涼感のようなものが味わえます。

女性が主人公ということもあり、女性ならではの視点でも楽しめるのではないかと思いますので、女性におすすめした本です。

悲劇週間

日本におけるハードボイルド文学の大家矢作俊彦が描いた一大ロマン小説です。この作品は日本に実在した詩人堀口大學を主人公にした作品で、彼が実際に訪れていたメキシコ革命当時のメキシコを舞台としています。

物語は堀口大學の青春回想記の形をとっており、日本を旅立つ前の話の中には与謝野晶子などの史実の人物とのやりとりもあります。青春回想でありながら、じれったい心理描写などがなく、端的な描写の中から時折感じられる心情が伝わり、とても読み心地がいい作品です。

この作品にはヒロインとしてメキシコ人のフエセラという女性が登場します。世の男性の多くが魅了されるであろうとても素敵な女性像として描かれあり、大學とフエセラとの淡い恋愛模様も描かれています。

いい意味で清潔感のある物語なので老若男女問わずおすすめしたい作品です。

小説は知らない世界を知る架け橋

この記事を書こうとした際に、小説を読むことでもたらされる効果、利点などをまとめようと考えていましたが、熱量が勝りその部分の言及を忘れました。

おすすめ本は独断と偏見により選びましたが、概要から少しでもその面白さがお伝えできれば、それだけで記事を書いた意味があったかなとも思います。(ネタバレせずに概要を伝えることの難しさを知りました、、)

私のおすすめした作品が苦手な人もいるかもしれません。それでいいのだと思います。

賛否両論あるからこそ本というものの価値があり、我々読者が存在する意味があるのではないでしょうか。

場所をとる点が気になる方には電子書籍端末もおすすめです。

是非おすすめの本を読んだり、おすすめの本を進める文化を広めていきませんか。

あなたのおすすめの本は何か教えてください。

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